自分で行う抵当権抹消登記|必要書類・手続きの流れをわかりやすく解説

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司法書士の藤井です。

住宅ローンを完済されたら、銀行から登記の抹消書類が送られてくるかと思います。

そのまま放置されている方いらっしゃいませんか?

住宅ローンを完済すると、金融機関は担保として設定していた「抵当権」の効力を失います。しかし、抵当権は登記簿から自動的に消えるわけではなく、ご自身で「抵当権抹消登記」を申請する必要があります。

すぐにお手続きすると比較的簡単な『抵当権抹消登記』ですが、時間が経過し銀行が合併したり、書類を紛失したりすると、非常に面倒な手続きになってしまいます。

抵当権抹消登記は司法書士に依頼するケースが多い手続きですが、実は一般の方がご自身で行うことも可能です。今回は、自分で抵当権抹消登記を行う場合に必要な書類や申請の流れ、よくある注意点について、司法書士の視点からわかりやすくまとめました。

 

1. 抵当権抹消登記とは?

抵当権とは、住宅ローンなどの債務を担保するために設定される権利で、万が一返済が滞った場合には、金融機関が不動産を売却して返済に充てるためのものです。
ローンを完済することで抵当権の効力は消えますが、その状態を登記簿に反映させるためには、法務局で「抵当権抹消登記」の申請が必要になります。

抵当権が残ったままだと、不動産の売却や相続、借り換えなどの手続きに支障が出るため、完済後は早めに行うのが望ましい手続きです。


2. 自分で手続きするための必要書類

抵当権抹消登記に必要な書類の大半は、住宅ローンを完済したタイミングで金融機関から郵送または窓口で交付されます。
一般的に必要となる書類は次のとおりです。


(1)抵当権解除証書(または弁済証書)

住宅ローンの返済が完了したことを金融機関が証明する書類です。
「解除証書」「弁済証書」「放棄証書」など名称は金融機関によって異なりますが、内容はほぼ同じです。


(2)登記原因証明情報

上記の解除証書と一体になっているケースが多いです。
抵当権が消滅した理由(原因)が記載されており、一般的には「令和〇年〇月〇日弁済or解除or放棄」などと記載されています。


(3)金融機関の会社法人等番号がわかるもの

登記申請において抹消金融機関の会社法人等番号を提供します。代表者事項証明書の代わりとなるものです。


(4)担保権の登記識別情報(権利証)

抹消金融機関が、抵当権設定時に発行された(住宅ローンを借り入れされた際に発行された)、担保権の権利証or登記識別情報が抵当権抹消登記時に必要になります。


(5)登記事項証明書(登記簿謄本)

法務局で取得します。地番や家屋番号の確認のために用意しておくと安心です。


(6)委任状(金融機関が同封している場合がある)

金融機関が抵当権の登記名義人となるため、「抹消申請を所有者(あなた)が代理で行う」ことを委任する書類です。


(7)申請書(法務局に提出する書類)

これはご自身で作成します。法務局のHPや法務局の窓口等にひな形があります。


3. 抹消登記の申請先|どこの法務局に行けばいい?

抵当権抹消登記は、
不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)
へ申請します。
自身が住んでいる地域の法務局とは異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

神戸市兵庫区だと、三宮から海側に行ったところにある神戸地方法務局が管轄になります。


4. 自分で行う場合の申請の流れ

ここからは、実際の手続きの流れをわかりやすく解説します。


STEP1:金融機関から届いた書類が揃っているか確認

完済時に送られてくる封筒には、多くの場合「必要書類一覧」が同封されています。
特に注意すべきポイントは、

  • 解除証書に押印があるか、物件が記入されているか、正しいか

  • 権利証or識別情報があるか

  • 委任状があるか

です。


STEP2:申請書の作成

申請書には、次のような情報を記載します。

  • 不動産の所在地

  • 地番・家屋番号

  • 登記の目的 → 「抵当権抹消」

  • 登記原因 → 「解除or弁済」(金融機関発行の解除証書によります)

  • 原因日付

  • 権利者(あなたの氏名・住所)

  • 義務者(金融機関名)

法務局のホームページにひな形があるため、それを参考に作成するとスムーズです。


STEP3:法務局に提出

提出方法は以下の3つから選べます。

  • 窓口での提出

  • 郵送による提出

  • オンライン申請(登記ねっと)

ご自身で行う場合は窓口での提出が安心です。

オンライン申請は、ご自身の電子署名を準備し、別途ソフトやカードリーダー等必要になるので、現状資格者以外でオンライン申請をされている方はほぼ0%だと思われます。


STEP4:登記の完了を待つ

法務局の混雑状況にもよりますが、抵当権抹消登記は比較的簡易な手続きのため、通常1週間前後で完了します。

※時期や法務局によっては1カ月ほど時間を要する場合もございます。


STEP5:登記完了後の確認

登記が完了すると、法務局から「登記完了証」が交付されます。
念のため、最新の登記事項証明書を取得して、

  • 抵当権が確かに消えているか

  • ほかに誤記載がないか

を確認しておくことをおすすめします。


5. 自分で抹消登記を行う際の注意点

抵当権抹消登記は比較的シンプルな手続きですが、次のような点に注意が必要です。


(1)書類を紛失すると手続きが複雑になる

金融機関とのやりとりが必要になります。

解除証書や委任状は再発行が可能ですが、権利証or登記識別情報は再発行ができませんので、別の手続きが必要になります。


(2)住所変更登記が必要な場合がある

所有者(あなた)が引っ越しをして住所が変わっている場合、
抵当権抹消登記の前に「住所変更登記」が必要になるケースがあります。

住所変更登記を同時に行うことは可能ですが、申請書が増えるため手続きが複雑になります。

住所変更登記には通常、登記簿に記載ある住所から今の住所までの履歴を法務局に証明しないといけないため、前住所入りの住民票を取得して申請書を作成し法務局に申請します。


(3)地番と住所が一致しないことがある

登記簿に記載される「地番」は、一般の住所表記とは異なることが多いため、必ず登記事項証明書で正確な記載を確認しましょう。


(4)書類の有効期限に注意

  • 解除証書 → 法律上の期限はないですが、長期間放置すると金融機関の代表者が変わっていくため、申請内容が複雑になりご自身での申請が難しくなります。

  • 委任状→解除証書と同じく、長期間放置すると金融機関の代表者が変わっていくため、申請内容が複雑になりご自身での申請が難しくなります。

完済後、できるだけ早めの手続きが安心です。


6. 自分で行うか、司法書士に依頼するかの目安と費用

ご自身で行う場合は、登録免許税等の実費費用がかかります。

  • 登録免許税は不動産1個につき1,000円(戸建ての場合は土地1筆建物1個で2000円・マンションの場合は建物1個敷地1筆で2000円のケースが多いです)

  • 不動産を確認するために謄本を取得する場合は、謄本費用(1通600円)

しかし、

  • 平日に法務局へ行けない

  • 書類が揃っているか不安

  • 住所変更登記も必要

  • 売却の予定があるので確実に済ませたい

  • 正直面倒だ

といった場合は、司法書士に依頼する方がスムーズで楽だと思われます。(費用は比較的安価なケースが大半です)

司法書士に依頼する場合は、報酬+登録免許税等の実費費用がかかります。

  • 報酬は2万円~

  • 登録免許税の他、謄本費用や、郵送費等実費がかかります。


7. まとめ|自分での手続きも可能だが、慎重に進めることが大切

抵当権抹消登記は、自分で手続きを行うことができる比較的シンプルな登記です。

準備する書類が揃っていれば、申請書を作成し、法務局に提出することで完了します。

しかし、書類の不備や住所変更の有無など、見落としやすいポイントが多いのも事実です。

また登記申請書を正確に作成することも意外と難しく、間違えていれば補正(修正)のために、また法務局に平日いかなければなりません。

「書類が足りているか不安…」
「住所変更が必要かわからない」
「法務局に行く時間がない」

そんな場合は司法書士に相談することで、スムーズかつ確実に手続きを進めることができます。

ふじい相続オフィスでは、神戸市を始め全国の抵当権抹消登記申請のお手続きが可能でございます。

通常の抹消手続きであれば、2万円台で抹消手続きが出来ます。

抹消手続きに関しても初回相談は無料でございますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

ありがとうございました。