司法書士ふじい相続オフィスの藤井です。
今回は相続登記をご自身でされたい方へ、相続登記をするにあたってこの手順で手続きを行うとスムーズです、という流れをご紹介したいと思います。
前提条件としては、ご親族の方が亡くなり実家の名義がその方になっているため、名義変更をしたいという状況です。
①固定資産税の通知書、名寄せ、権利証等を見て該当不動産の地番や家屋番号をメモし、法務局で不動産の登記簿謄本を取得する
②最新の登記簿謄本で、不動産の所有者が被相続人の名義であることを確認する
③被相続人の出生~死亡までの戸籍・戸籍の附票を集める
④戸籍を読み込み相続人を特定する
⑤各相続人の現在戸籍・住民票を集める
⑥遺産分割協議書・相続関係説明図を作成する(法定相続分通り共有名義にするなら遺産分割協議書は不要ですが、共有名義にすることを私はオススメしておりません)
⑦遺産分割協議書に各相続人が署名・実印で押印する。印鑑証明書も各相続人が取得し遺産分割協議書と一緒にまとめておく
⑧登録免許税を計算する(不動産の評価額を全部足して1000分の4すればだいたいは大丈夫です。もちろん例外はあります)
⑨登記申請書を作成する(法務局のHPにひな形があります。ご参照ください)
⑩登記に使う書類を整える
相続関係説明図を作っておくことで、戸籍はコピーをとらなくても還付してくれます。遺産分割協議書と印鑑証明書、そして住所証明情報等はコピーをとって原本還付手続きをします。
相続関係説明図→遺産分割協議書→印鑑証明書→被相続人の住所証明書(被相続人登記事項と同じ住所が記載されている公的証明書等)→名義をいれる相続人の住民票or附票の流れでよろしいかと思われます。
⑪印紙を買う、貼る
法務局に印紙売り場あります。印紙に割り印はしてはいけません。高額の場合は(100万とか)、売り切れの可能性があるので郵便局で購入をオススメしています。
⑫申請書と添付書類をあわせたものを法務局に提出する
⑬完了予定日以降に法務局に行ってできあがりの書類をもらう。(登記識別情報、登記完了証、原本還付書類)その際申請書に押印した印鑑と本人確認書類を持参する。
⑭完了後の登記簿謄本を取得し名義がしっかり変わっているか確認する
以上が簡単な流れです。
気を付けるべきポイントは以下のとおりです。
①私道漏れ
私道は見つけにくいです。評価証明書に記載がないこともありますので、名寄せや権利証、時には公図等を確認し財産を特定します。
②戸籍収集
数次相続や代襲相続等複雑になってくると司法書士に依頼する方が楽だと思われます。離婚があればさらに戸籍の収集、相続人の特定が難しくなっていきます。養子縁組は見逃しやすいので注意が必要です。
③被相続人の住所がわかるもの
不動産の登記簿に記載されているAさんとこの度の相続の被相続人Aさんが同一人物であるかどうかを確定させるために、被相続人の住民票の除票や附票が必要になります。
問題は平成26年より前の除票や附票は既に廃棄されて交付できない点です。言い換えれば、昔に亡くなった方の相続登記ですと、被相続人の住所がわかるものが手に入らないことになります。
この場合、物件の権利証があればそれで代用できることになっています。しかし権利証もない場合は、様々な書類を準備しないといけなく司法書士にご依頼いただくことを強くおすすめします。
④登録免許税の計算
土地に関しては減税措置があったりします。適用条文を記載しないと適用されないためご注意ください。
⑤遺産分割協議書作成
内容1つで相続税・贈与税・譲渡所得税など税金の問題であったり、登記に実際に使えるかどうか変わってきたりしますので、心配な方は司法書士や弁護士にご依頼される方が安全です。
⑥登記申請書作成
通常の相続の場合、法務局HPのひな形で事足りると思われます。しかし数次相続の場合など、テクニックが必要なケースも多々ございますのでそういった場合は司法書士にご依頼されることをオススメいたします。
名義人になる方(相続で不動産を取得される方)が複数人の場合、全員が申請人になった方が良いです。申請人にならなければ登記識別情報(昔の権利証)が発行されません。登記識別情報(昔の権利証)は、発行しておかないと後々費用がかかったり手間になったりと煩雑さが増しますので、発行をオススメしています。
以上でございます。
このあたりを気を付けていただけるとご自身で登記をスムーズにできるかと思います。
是非ご参考になさってください。お読みいただき、ありがとうございました。