遺言書の種類と書き方【失敗しないためのポイントを徹底解説】

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司法書士ふじい相続オフィスの藤井です。

今回は遺言書について、「遺言書には様々な種類があること」「有効な遺言書にするために気を付けたいポイント」について解説いたします。

はじめに

「自分が亡くなった後、家族が揉めないようにしたい」「財産を大切な人に確実に渡したい」
そう考える方にとって、遺言書の作成はとても重要です。

しかし、実際に遺言書を書こうと思っても、
「どんな種類があるの?」「どのように書けば法的に有効なの?」「失敗しないための注意点は?」
といった疑問が多く、誤った方法で作成してしまうと、無効になる恐れもあります

この記事では、司法書士の視点から、以下のポイントを分かりやすく解説します。

  • 遺言書の3つの種類とそれぞれの特徴

  • 自筆証書遺言の正しい書き方

  • 有効な遺言書にするための注意点

  • 遺言書作成を司法書士に相談するメリット

これから遺言書を作ろうとお考えの方や、相続対策に不安のある方は、ぜひ最後までご覧ください。


遺言書の主な3つの種類と特徴

遺言書にはいくつか種類がありますが、日常的に利用されるのは次の3種類です。

1. 自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

特徴:

  • 自分で全文・日付・署名を手書きする形式の遺言

  • 手軽に作成でき、費用もかからない

  • ただし、書き方に不備があると無効になる可能性あり

メリット:

  • 自宅でいつでも作成可能

  • だれにも知られずに作成できる

デメリット:

  • 法的な形式を満たさないと無効

  • 発見されない・破棄されるリスクあり

  • 家庭裁判所での検認が必要

補足:法務局での「遺言書保管制度」も活用可能

費用:ご自身で作成される場合は無料です。司法書士がコンサルティングに入りますと5万円~の費用が発生いたします。また検認手続きにおいて、別途費用が発生いたします。

2020年7月から、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が始まりました。
これを使うことで「紛失・改ざん・発見されない」リスクを大きく減らせます。


2. 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

特徴:

  • 公証役場で、公証人の面前で作成する遺言

  • 内容を事前に公証人と打合せを行い、公証人が文書を作成

メリット:

  • 法的に確実性が高く、無効になるリスクが低い

  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配がない

  • 家庭裁判所での検認が不要

デメリット:

  • 公証役場での手続きが必要

  • 証人2人の立会いが必要

  • 手数料や司法書士・公証人の費用がかかる

 

補足:司法書士が実際にお手続きをさせていただく場合、司法書士が遺言者の要望をヒアリングし、公証人と調整しながら案文を作成いたします。公証人は形式面についてチェックを行いますが、内容面に関しては基本的にチェックの対象外となりますので、専門家のコンサルティングをおすすめしております。

費用:公証役場への手数料は2万円弱~ですが、遺産数千万円規模の遺言の場合、費用は5万円~10万円ほどになります。

司法書士の報酬が8万~15万円ほどになり、証人への手数料が1人1万円ほどになります。(証人は2人必要です。)

合計しますと、15万円~30万円ほどになります。


3. 秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)

特徴:

  • 内容を秘密にしたまま、公証役場で遺言の存在を証明してもらう方式

  • 本人が作成した遺言書を封筒に入れた状態で提出

メリット:

  • 内容を誰にも知られずに遺言の効力を確保できる

デメリット:

  • 自筆証書遺言と同じく、形式不備のリスクがある

  • あまり利用されていない

 

補足:秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同じく家庭裁判所の検認の手続きが必要になります。

費用:秘密証書遺言の公証役場手数料が11,000円かかります。また公正証書遺言と同様に2名の証人が必要となりますので、その費用も発生いたします。

司法書士に依頼される場合は、こちらもコンサルティング費用として5万円~報酬が発生いたします。また検認手続きで別途費用が発生いたします。

 


自筆証書遺言の正しい書き方【見本付き】

最も身近で利用されている自筆証書遺言について、基本的な書き方とポイントを紹介します。

自筆証書遺言の記載例(簡易版)



遺言書

遺言者 神戸花子 は、次のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、長男 神戸太郎(昭和50年1月1日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として次の者を指定する。

    住所 兵庫県神戸市兵庫区○○○○

    氏名  神戸太郎

    職業  会社員

    生年月日 昭和50年1月1日生

令和7年9月20日

  住所 兵庫県神戸市中央区○○○○

     神戸花子(昭和20年5月5日生)  ㊞


書き方のポイント:

項目注意点
日付の記載和暦・西暦どちらでもOK。必ず特定できる日付を。
全文を自筆ワープロ・代筆は無効。全文・日付・署名はすべて手書き。
署名・押印実印でなくてもOK(認印可)だが、明確に本人確認できる印を推奨。
財産の記載「○○銀行の口座××支店、口座番号×××××」など具体的に。
相続人の特定名前・生年月日などで明確に指定する。曖昧な表現は避ける。

遺言書を書く際に気を付けるべきポイント5選

1. 内容が曖昧にならないように

たとえば「長男に家を相続させる」とだけ書いても、どの家か特定できないと無効になることがあります。
不動産であれば、「登記簿上の記載通り」に書くのが鉄則です。別紙目録として不動産を記載するのであれば、その別紙に限ってはパソコン等で入力し作成したものでも大丈夫ですが、その別紙にも自筆で署名と押印が必要です。自筆証書遺言が別紙等で2枚以上になる場合、契印がなくても法律上は問題ありませんが、契印がある方が有効性や正確性が高まるので契印をお勧めしております。


2. 相続人の感情にも配慮を

遺言書は法律的な効力があっても、家族関係のトラブルを生む原因にもなり得ます。
「一部の子だけに全財産を残す」などの内容は、遺留分侵害で訴訟になるケースも。

感情面にも十分配慮した内容にしましょう。


3. 最新の法改正に注意

遺言に関する法律は改正されることもあります。
直近では「自筆証書遺言の財産目録はパソコン作成OK」「法務局での保管制度スタート」などの変更がありました。
古い情報に基づくと無効やトラブルの原因になるため、専門家に確認を。


4. 遺言の内容を定期的に見直す

遺言書を一度作ったとしても、ライフスタイルや家族構成が変わることがあります
数年に一度は内容を見直し、「今の意向と合っているか」を確認しましょう。


5. 専門家のチェックを受ける

自分で書いたつもりでも、法的に不備があるケースは多くあります。
少しのミスで「遺言が無効」になるリスクがあるため、司法書士などの専門家に相談することで安心です。


遺言書作成を司法書士に相談するメリット

司法書士は、相続や登記の専門家です。遺言書作成においても、以下のようなメリットがあります。

✔ 法的に有効な内容かチェックしてもらえる

形式的なミスを防ぎ、トラブルのない内容に整えることができます。

✔ 財産整理や相続人調査のサポートも可能

遺言書の作成にあたって、財産目録の作成や相続関係の確認も重要です。

✔ 公正証書遺言の作成サポート

証人の手配や公証役場との調整などもすべて任せられます。

✔ 亡くなった後の相続手続きまで一貫して対応可能

遺言執行や不動産の名義変更、相続登記などもトータルでサポート可能です。


まとめ:遺言書は「正しく書いて、しっかり残す」ことが大切

遺言書は、残された家族への“最後のメッセージ”ともいえる重要な書類です。
しかし、形式に不備があったり、内容が不明確だったりすると、せっかくの思いが届かなくなることも。

トラブルを避け、安心して財産を引き継ぐためには、「自分だけで判断せず、専門家と一緒に作る」ことが最も確実です。


【無料相談受付中】

司法書士ふじい相続オフィスでは、初回のご相談を無料で承っております。
「遺言書を作りたいけど、何から始めればいいか分からない…」という方も、お気軽にご相談ください。

ありがとうございました。