合同会社の社員、代表社員追加の添付書類について【一部備忘録】

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司法書士ふじい相続オフィスの藤井です。

今回は以前依頼いただきました合同会社の社員追加について登記の添付書類について重点的にお話いたします。備忘録的な内容になります。

まず合同会社の社員を追加するには、①資本金を出資して加入するか②現社員から持分を一部譲り受けて加入するか③現社員と交代(現社員は退社)する形で加入するか、の3つの方法があります。

今回は社員の追加で資本金を出資されるということでしたので①のパターンでした。

①のパターンでの社員追加ですと流れは、(1)総社員の同意で社員の加入について同意し、(2)定款を変更した上で(3)加入する社員が出資するという流れになります。

 

以下登記実務の話になります。

(1)と(2)は総社員の同意書という形で、新規に加入する社員追加の同意や定款変更の内容を1枚ものにまとめます。

(3)については、通帳等で資本金が払い込まれた履歴があるもののコピーなどで証明します。

そして追加した社員を代表社員に就任する形でしたので、別で代表社員決定書を作成しました。

ここで1点ひっかかりました。

実務本でよくあるケースでは、追加した社員をそのまま代表社員に就任して既存の代表社員は辞任するパターンだったんですね。

この場合は、代表社員決定書で加入する社員を代表社員とする内容で総社員から同意をもらい代表社員になる社員からは就任承諾書、辞任する代表社員からは辞任届をもらえばいいわけです。

しかし今回は既存の代表社員も辞任はせず、複数人代表社員がいるパターンになります。

そこで悩んだのは、代表社員決定書の内容になります。

「既に選ばれている代表社員を代表社員決定書で再度選ぶ(記載する)必要があるのかないのか、就任承諾する必要があるのかないのか」という点です。

まず原則として、合同会社の出資した社員は代表権を当然に持っています。

ただ原則通りに全員が代表権をもっていると煩雑になったりしますので、定款で複数人社員がいる場合、代表者を限定できるということになります。(代表者を定款で特定したり、互選規定を設けたりします。)

今回の会社様も定款を確認したところ互選規定がございましたので、複数人社員(業務執行社員)がいるため、代表社員決定書(互選書)において代表者を選出しなければいけません。

ところで互選の法的特性は選ばれなかった者の代表権を奪うことにあります。(原則全員が代表権をもっているため)

従ってその特性から考えると、新たにする互選で新規に加入する社員を代表社員にするとしてしまうと、既存の代表社員の代表権を奪われることになるのではないかと悩みました。

もちろん既存の代表社員の登記事項に関しては今回ノータッチでしたので登記実務的にはどのような形でも申請できたのかもしれませんが。

 

結局、代表社員決定書(互選書)において、新規加入社員の代表社員、既存社員の代表社員、2名とも併記した形で代表社員決定書を作成しました。

(※こういった総社員の同意書は既存の社員と新たに加入する社員すべての方からご捺印をいただきます。)

なお、登記事項にあたる新規加入の代表社員については就任承諾書が必要になります。

(※登記実務で必要とされています)

無事問題なく登記は完了しましたので、この形で問題ないかなと思っております。

 

株式会社の取締役追加とは違い、合同会社の社員追加は少し難易度が上がります。

資本金を出資され加入される場合も多いかと思われますので、社員追加と併せて資本金の額の変更登記も必要になります。

その分登録免許税も高くなりますし、払込証明など必要書類も増えます。

司法書士ふじい相続オフィスでは、会社・法人登記も承っております。

初回相談・お見積りは無料でございます。

お読みいただき、ありがとうございました。